うさぴょん号発進せよ
アイがその声に反応し、顔を輝かせながらこちらに注目するのが見える。

声と銃を持つ手が震えているのは、自分でも分かっていた。

トヲルはその湧き上がる恐怖心を必死で押さえつけながら、銃を抱えると一気に走り出したのである。

ガラスで仕切られた部屋の中へ、一目散に駆け込んでいた。

だが突然、アイが目の前に現れる。

(!この娘も、瞬間移動能力者!?)

それはペルギウスも使っていた能力だった。

トヲルは、二人がエレベーターに乗り込めるだけの時間稼ぎくらいはできる、と思っていた。そして自分を囮にし、敵を引きつけるつもりでいたのだが。

しかしアイというこの少女も、瞬間移動能力を使えるとは――即座に立ちはだかってくるとは、予想外のことだった。
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