うさぴょん号発進せよ
床の一部でも隆起するのが見えた。

恐らくこの強大な圧力の流れにより、崩れだしたのだろう。避難しているエレベーターの箱さえも、上下に激しく揺れているほどである。

突然ボコッという音が足元でしたかと思うと、箱内の床も崩れて盛り上がってきた。

このエレベーター内も、もはや安全な場所ではなくなっていたのだ。

「ちっ、こんなところで…」

なるべく奥へ寄り、ミレイユを庇いながらコウヅキは脱出方法を考える。

しかし外では既に、天井も崩れ始めているのだ。

更にエレベーター内部も外側からの圧力により、変形し始めている。

この場所に閉じ込められ、二人とも押しつぶされるのは時間の問題だった。

いや、その前に崩れた天井で生き埋めになるのが先か。

何れにせよコウヅキには、為す術がなかった。
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