うさぴょん号発進せよ
《そろそろ頃合いか》

気の流れが、少し弱まってきている。

自身の腹に当てていた右手を、ゆっくりと放した。

破れた服の隙間から、素肌が覗く。背中から腹にかけて空いていた穴は、8割方塞がっていた。

《ふむ。どうやら『地の者』よりも若干人間の方が、自己治癒能力は高いようじゃが、体力はこれが限界か。
とはいえ、ここまで回復をするとは、非常に興味深い素材といえよう。
…さて》

ペルギウスは、渦の中心に顔を向けた。

《あちらも、もうすぐなようじゃな》

先程まで少女の姿は、この黒い気に飲まれ見えていなかったのだが、今は時折その姿を現すようになっていた。
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