うさぴょん号発進せよ

第5節 帰還

トヲルはベッドの中から身を起こすと、見慣れた天井をぼうっと眺めていた。

帰還してから既に3週間以上経過していたが、体力のほうはまだ完全に回復してはいなかった。

5〜6日ほど昏睡状態が続き、1週間前にようやく起き上がれるようになったばかりである。

自分があの星からどのようにして生還できたのか、全く記憶にない。

それに最後に見た、あの光景。

変わり果てた母の顔が、目に焼き付いて離れなかった。

「なんで母さんは、あの時…」

自分を殺そうとした母親。

あの少女に操られていたのだろう、と分かってはいたが。

未だに遣る瀬無い気持ちが、胸の中でシコリとなって留まっているのも、また事実である。

《主はあの両親のことが、今でも心に引っ掛かっておるのじゃな》

ペルギウスの声が、頭の中へ直接響いてくる。
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