うさぴょん号発進せよ
母は大学病院の看護師をしていた。ということは当然、人体構造のことも知っているはずである。

(まさか…そこまで計算していた…?)

そんな考えも一瞬頭を過ぎっていたが、いくらなんでもそれは考えすぎだろうと、トヲルは即座に否定した。

《とはいえ、我の判断が少々遅れていたならば、危うかったことも事実じゃ。それに「地の者」以外に「寄生」するのも初めてじゃったしな。主の身体が未だ回復せぬのは、そのせいも一部あるのじゃ》

「!僕がまだ思うように動けないのって、ペルが原因だったの!?」

《そうじゃ》

ペルギウスはまたもや、あっさりと肯定した。

《あの者を倒す時に主の肉体も、相当痛んでしまったのでな。それを回復するために些か能力を使いすぎてしまった。おかげで我が覚醒できたのは、主が目覚める1日前じゃった》

トヲルは天井に息を吹きかけるかのように、深々と溜息を吐いた。身体全体の力が抜けるようだった。

だが今のペルギウスの話。

両親はトヲルを殺そうとしていたのではなく、本当は助けようとしていたこと。

そのことを聞いただけでも、心が少しだけ軽くなったような気がした。
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