うさぴょん号発進せよ
「あの鉱物…確か『黒磨晶石(ダークネス・クリスタル)』という、現在では市場に出回ることのない、貴重な鉱石でしたわね」

「アレは今回の件では、あまり意味のあるモノではありません。調査中、偶然発見しただけにすぎないのですから。
もっとも、私もあの星を探索していることが兄たちにも露見しそうになったので、あなたたちに急いで回収させましたがね。
おかげであそこには暫くの間、近付くことはできないでしょう」

ラファエルは傍らのデスクに置いてあった面を手に取ると、その凹凸を愛おしそうに指先で軽く撫でつけながら言った。

「私が後から兄たちのモノを、横取りしたような形ですし。一応私にも、罪悪感というものはあるのですよ」

本気とも、冗談ともつかないような言葉だった。

ヴェイトはラファエルの横顔を見詰めながら、自分が一番疑問に思っていたことを投げ掛けてみた。
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