うさぴょん号発進せよ
「上の兄が施設を建設する直前にも、あの惑星の調査をしていたらしいのですが、その時にはこれほど入念な探索はしなかったようです。
となれば、あの施設を造ったことと何か関係がある、と推測しても不思議ではないでしょう」

本当にあの惑星と既に消滅した研究施設は、何らかの繋がりがあったのだろうか。

しかし手許にある情報が少なすぎて、今は憶測でしかなかった。

「このことをCEOは、ご存じなのでしょうか?」

「さあ、どうでしょう」

後ろを向いたままで、肩を竦めながら言った。

「もっとも私としては、あの仲の悪かった二人が結託し、例え何かを企んでいたとしても、特に差し支えはありませんが」

(そういえばこの3人って、昔からあんまり仲良くなかったわね)

3兄弟が次期総帥の座を巡り競い合っているのは、側近であれば誰でも知っていることだった。

現在の総帥が、誰にその座を譲るのかということを明言していないこともあったが、更にその背景には複雑な家庭の事情があることも、ヴェイトは知っていた。
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