うさぴょん号発進せよ
(あなたはあのお二方の研究データを、利用なさるおつもりなのですね)

ラファエルは周囲から虐げられてきた母親を、とても大切にしていた。

故に、母のことを兄や周囲に認めてもらえるよう、今まで人一倍努力をしてきたのである。

その最終目標が『総帥の座』だった。

どんな手段を使ってでも総帥になることが、ラファエルの望みでもあった。

自分が総帥になれば母に対して、誰にも何も文句を言わせない。

すべては、母のことを認めてもらえるように。

ヴェイトはラファエルの側についてから、ずっとそれを目の当たりにしていた。

「ところでミレイユのほうは、まだ記憶が戻らないようですね」

「ええ、相当酷いショックを受けたようですから。戻るのには、しばらく時間がかかるかもしれませんわね」

「コウヅキの話では確か、そこにいた少女がタスクを殺し、その死体を操っていたということでしたが、間違いはありませんね?」

「はい、そう聞いています。やはりラファエル様は、その少女が『生物兵器』だとお思いなのですか?」

ラファエルはその問いには答えず、無言でしばらく窓の外を見ていた。

が、やがて。
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