うさぴょん号発進せよ
3人が船に戻ってきた時、意識がはっきりしていたのはコウヅキだけだった。

あの星で何が起きたのかをコウヅキに問い質してみたのだが、少女がタスクを殺し、死体を操り、気付いたら3人とも外に出ていたのだと答えた。そしてその少女もいつの間にか、いなくなっていたらしい。

それくらいしか情報を引き出すことができなかった。

もっともコウヅキの性格から考えれば、単に説明するのが面倒だから話さないだけ、とも思えるのだが。

(それに船に戻ってきた時の、トヲルの異常なまでの体力消耗。これも気になるのよね)

外傷はコウヅキほど酷くはなかったが、意識が戻ってもしばらく起き上がることはできなかった。

今は自宅療養ということで退院させ、船で治療をしているのだが、結局ヴェイトにもその原因を突き止めることができなかったのである。

更にトヲルの身体自体にも、異常な箇所を発見していた。

それは新たな体組織が生成され、他の細胞と結合したばかりのような真新しい、不自然な痕跡。そのような部分が腹から内蔵、背中にかけて、まるで直線を描くように見られたのである。

時が経つにつれて徐々に組織体も周囲と融合し、不自然さは目立たなくなってきているが、それが新しいものであることは確かだった。

勿論、自然発生などではあり得ないことだ。人為的に成されたものとしか考えられない。

(でも一体誰が?)

それにまだ不審な点はあった。
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