うさぴょん号発進せよ
トヲル達は設置されている業務用エレベーターで、下へ降りていった。

目の前にある船は、鉛灰色のよく目にする型(タイプ)のもので、大きさも極一般的な宇宙船と何等変わりはない。

トヲルは間近で、そのような宇宙船をあまり見たことがなかったので、その大きさに圧倒されていた。

船の入口に真っ直ぐ近付くと、コウヅキは脇にあるスイッチを押し、ドアを開けて中へと入っていった。

トヲルは辺りを珍しそうに見回しながら、その後に続いて入っていこうとしたが、ふと入口の上部に目がいく。

『うさぴょん号』。

表札ほどの大きさの札の上から、ファンシー風にデザインされた文字が、このように小さく書かれているのに気付いた。

よく見ると文字の横には、これも小さく、正面を向いて笑っている顔と、ウインクしている顔のピンク色をした兎のイラストが、両端に一つずつ描かれている。
< 71 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop