うさぴょん号発進せよ
「あ、お兄ちゃん。お帰りなさい」

階段を上り終わると、その声の主が目の前に立っていた。

金に近いブラウン系の髪をツインテールにした、12〜13歳ほどの可愛らしい少女である。胸には、大きめのトレーを抱きかかえていた。

「ただいま、ミレイユ。俺がいなくても、いいコにしてたか?」

コウヅキはそう言いながら、そのミレイユという娘の髪を、ガシガシと掻き回した。

(…あれ?)

ふと一瞬だけだが、コウヅキに見たことのない、優しい表情を見た気がしたのである。

「もう、お兄ちゃんてばっ。いつまでも子供扱いしないでよ!あたし、もう12歳になったんだからねっ」

ミレイユが白い頬を膨らませながら、頭に置いてあったコウヅキの手を払いのける。

(もしかしてコウヅキの妹、なのかな?でもあんまり似てないな。……いや、それより)

「あの…本当の『女の子』、だよね?」
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