うさぴょん号発進せよ
程なくしてトヲルは、動力室を出て狭い階段を上り、船の最上階へと出た。

この船の最上階には、乗組員専用の住居がある。

その一角にある、あまり広いとはいえない自室へと戻り、トヲルはそのままベッドへダイブした。

トヲルはこの1ヶ月間、毎日この船の手伝いをさせられている。

この船はゴードン商会とローン会社の、細かい雑用的な仕事を中心にしていた。

そして今日は1日中、ビルホークの仕事を手伝っている。

トヲルは、慣れない肉体労働で、かなり疲れていた。

時にはコウヅキの手伝いだったり、今日のようにビルホークの手伝いもさせられたり。酷いときには、1日中格納庫の掃除をさせられたこともあった。

その間は、当然通っていた大学は休学である。

(いつまで、こんな生活しなきゃならないんだろう)

両親が見つかるまで…というのは分かっては、いるが。

トヲルはベッドに俯せの状態のままで、1ヶ月前の船長との会話を思い出していた。
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