うさぴょん号発進せよ
「おっと、そうだった。忘れてた」

コウヅキが、つかつかと船長の前にやって来ると、目の前のデスクに、小さなカードを置いた。

「前から指示されてたヤツ、やっと取り戻してきたぜ」

よく見ると、フィートから取り戻してきたメモリーカードである。

「うむ。確かに預かったでち。…エミリー」

船長がカードを手に取ると、そのまま横にいたメイド人形の目の前に、そのカードを突き出した。

「ハイ、船長」

人形が突然動き出し、喋った。

これも後で知ったことだったが、それは人形ではなく、ヒト型のアンドロイドだという。

アンドロイド自体も、さほど珍しいモノではなかったが、トヲルはここまで人間に近い型のものを見るのは、初めてだった。

「これを保管庫に仕舞ってくるでち」

「了解シマシタ」

エミリーはそれを受け取ると、二足歩行型にしては、かなりスムーズな動きで歩き、階段を下りていった。
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