うさぴょん号発進せよ
「まあ、話は最後まで聞くでち。
…ひとつ言い忘れていたでちが、ゴードン商会の社長は、ゴードンローンも経営ちてるでち。
ちょれに、ウチの社員もこの逃亡には関わっているわけでちから、もち見つかったときに、情状酌量の余地有りと判断しゅるならば、多少は大目に見てくれると、社長も言ってくれているでち。
だからこちらでも、独自に捜索ちている最中なんでち」

「な、なんだ〜」

トヲルはこの話を聞いて、少し安心した。

「本当にあの社長が、その約束を守れば、だけどな」

コウヅキが意地悪くそう言ってきたが、トヲルは聞こえないフリをした。

「ちかち前者の場合のこの命令は、君のご両親が帰ってくるまで、という話でち。ちょれまでは君が債務者になっているでちからね。
勿論、君のご両親が帰ってきたら、解放ちてあげるでちけど」

どちらにせよ、多額の借金を支払わなくてはならないことに、変わりはなかったのだが。

トヲルの答えは決まっていた。

どちらが良いかと問われれば、やはり前者に決まっている。

あと少しで大学も卒業だったし、拘束されるのも両親が帰ってくるまでの期間限定である。

その後のことは両親と相談し、3人で力を合わせればなんとかなる、とトヲルは思っていた。
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