NOT inosent love
私は、彼が好きだったサッカーの何かを作って贈ろうと思い立ち、慣れない裁縫道具を引っ張り出した。
不格好なサッカーボールのマスコットと
手紙を渡した気がするけど
内容までは覚えていない。
ただ、彼から受け取った手紙だけは、今もなんとなく大事にとっている。
その手紙だけが、気になっていた男子からの最初で最後の手紙だったのもあるけれど。
「一緒に遊べて楽しかった」
という彼らしいありきたりと言えばありきたりな文だったけど、
気まずく思っていた私にとってはたまらなく嬉しく、
同時にやりきれないほど切なくさせたと思う。
きっと、人生最初の"切なさ"だった。
帰り道に、彼がいない。
そして、連絡もほぼ完全に途切れ、私たちは中学生になった。