愛があれば…
顔を洗おうと、手すりに一生懸命につかまり室内にある洗面所に向かった。


あたしは、リハビリも含めて自分の部屋の中を移動するときは車椅子を使わないようにしている。


丁度、ドアのところにさしかかった時…


ガラッ…


捕まっていたドアが急に開いた。


「キャァッ」


いきなり、自分の身が軽くなって倒れていく。


ドサッ


「いった……くない?」


倒れたのは自分と同じ年くらいの男の子の上だった。

「あっ、ご…ごめんなさいっ……ったぁ」


麻痺している足が痛みだした。


「あ、ごめんなさい。って…大丈夫?」


彼は、足を痛がるあたしを見て心配そうに顔を覗きこんできた。


「…ぁ…だ、大丈夫です」

「ほんっとすんません」


「いえ。」


パタパタパタッ


「あ…留美ちゃん。」


あたしがそう言うと、彼は驚いて振り返った。


「え?留美?」
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