ひとひらの記憶
その後も、色々と部屋の中を見て回った。
なかなか面白いものが沢山出てきたのだが、中には何コレ? と、首を傾げてしまうようなものもあったりした。

そして、机の引き出しに私はあるものを見つけた。

皆藤沙良様へ

少し雑な字でそう書かれた封筒。
中を見てみると、それはラブレターだった。
そのラブレターを送り主は、悠さんだ。

『突然こんな手紙をもらって、驚いていると思う。
迷惑かもしれないけれど、俺は君のことが好きです。
いまどきラブレターとか恥ずかしいけど、俺は多分君の前に出たらあがっちゃって話せないと思うから、自分勝手で申し訳ないけど手紙で書かせてもらいます。

ずっと君のこと見てました。あ、いや、ストーカーとか思わないで。
ちょうど君のクラスが体育のとき。俺暇で、ボーっと外眺めてたらさ。
皆楽しそうにドッヂボールやってて、その中一人木陰で休んでる子を見つけた。
それが君だった。
はじめは、ドッヂボールなのに休むなんて変な子って思った。
ほら、ドッヂボールって、風邪引いてる奴でも無理やりやろうとする奴多いじゃん。
だから俺、ドッヂボールで休んでる子見ると、変なのって思っちゃうんだよね。
ごめん、理由あって休んでるのに失礼だな;;
って、俺何話してんだろ。何か脱線してきた気がする。

話し戻るんだけど、で、そのときはあんまり気にしてなかった。
でも、それから毎回、その時間外を眺めてると、木陰にはいつも君の姿があって。
いつ見ても、絶対そこに君の姿があって。
毎回見てたら、何かだんだん気になりだしちゃって。
初めて廊下で君の姿を近くから見たとき、かわいいって思った。
多分そのときにはもう君に惚れてた。いや、そのときよりもっと前。初めて君を見たときから惚れてたんだと思う。一目惚れってやつ?
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