昔の真の暗 裏の裏の光
何も言わない俺に、母親は言葉で追い詰めてくる。



「毎朝ちゃんと時間通りに家出てるじゃない。それから何処に行ってるのよ?」
「…別に良いだろ。成績は下げてないんだから。」
「そういう問題じゃないでしょ。はっきり言いなさい!」



触れてほしくない話題に触れられたからかもしれないが、自分自身で自分が苛立っているのが解る。



「旭。どうにか言ったらどうなの。」
「…うるせぇな…。いつもは何も言わないくせに、こんな時ばっか親面すんなよ!!」



気付いた時には遅かった。
募り募った苛立ちに押し出され、言ってはいけないということを解っていた言葉を口走っていた。

それを聞いた母親は何も言わないで、表情を変えずに俺を見ていた。
俺達の周りだけに漂う、重苦しい空気に耐えられなくなって、俺は部屋を飛び出た。
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