身長差15センチの関係


「少年じゃなくて高志です、先生」

「うむ」

それからしばらく間が開いて、
高志の方から、

「今日僕が休んだのは、先生のせいじゃないですから」

言葉がおくられる。

「今日は本当に風邪で、熱があって、病院に行って・・・・・・それで、」

高志の声に、受話器ごと耳を傾ける弓倉。

「先生が昨日のこと気にしてるじゃないかと思って・・・・・・」

それはとても遠慮気味な声で、
静かに聞いている弓倉だけが聞ける声。

「少年」

「あ、でも勝手に僕がそう思っただけでっ、急に変な電話してすみません」

「いや」

瞳を覆う弓倉の目蓋が緩む。

「気にしていた、気にしていたぞ少年」
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