身長差15センチの関係
高志が言う答えを全部知っていて、弓倉は笑んで言う。

「ついでに言うと、そのときではなく今運んでくれると嬉しい」

「さっそくですか?」

言いつつ、手を出す高志。
弓倉も手を出して筒を渡す。

「その心使いと行動に感謝だ、とっ」

そのとき、
弓倉が重量の移動にバランスを崩し、
軽く高志の前でよろけた。

「先生っ」

高志は、筒を放り捨てる。
慌てて弓倉の身体を捕まえた。

カタタタタタタ。
階段を転がり落ちて行く筒。

「と、と、と、と、と」

高志と弓倉は互いに引っ張りあってバランスをとり、

壁際にもたれあってくっついた。

壁を背にする弓倉を、高志は正面から抱き包む。
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