身長差15センチの関係
「あ」
「うむ」

「ご、ごめんさない」
「いや、助かった」

高志のつまった声で言い、
弓倉がいつもの調子で受けとめる。

「その」
「何だ?」

「手を放してくれないと、僕、先生にくっついたままなんですけど」

「そうか、こっちも思わずしがみついてしまったからな」

高志の背中に回っている弓倉の腕。
高志の誇張ではなく、かなり力が入っている。

弓倉はその腕をそっと離し、踊り場まで落ちた筒を見下ろす。

「あれは壊れていないと思うか?壊れていると、君に授業でお披露目できなくなる」

「それは中を見てみないと」

「そうだな」

相槌をうつ弓倉。

そして、
視線を眼下の高志に移して。

「で、少年、今はどんな理由で私を抱いたままなんだ?」

腕を離しても自分に抱きついている高志に言った。
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