身長差15センチの関係
「気づかないどころか、君が懸命に私などと関係を持つはずがない無害な一般生徒を演じているところをはっきりと見た」

カップに口をつけ、
器の中で小さく笑う弓倉。

「演技力には多分に難ありだったが、まあ、あれくらいできれば十分だろう。今後も努力してくれ」

「むうう、何かひっかかる言いかたです」

弓倉の物言いに、高志は肩をすくめた。

「だったら早く慣れることだ。顔を合わせるたびにあの調子では身がもたんだろう」

「慣れるって、まだ2週間ですよ」
「うむ、まだまだ新鮮な頃合だな」

「そのわりに先生は慣れきった感じです。とても新鮮という感じじゃないですけど?」

高志は弓倉をくりくりと見上げた。

その目は『もしかして飽きちゃいました?』と問い掛けてくる。

弓倉は、そんな高志を満足げに見下ろした。
< 139 / 146 >

この作品をシェア

pagetop