身長差15センチの関係
「わああっ、ごめんなさいっ!!」

高志は慌てて飛び跳ねた。
ここは階段。
跳ねれば当然足をすべらせる。

「うわわぁ」

手の中の記録帳を投げ捨て、
ぐるぐると腕を回し、
段差の角につま先立ちになって、

ひっくり返りそうになるのを必死に堪えるも、上体は後ろへと傾いていく。

「わ、わ、わ、わ~」

丁寧に倒れていくのにあわせて、出てくる叫び。
もうだめ、落ちる。

覚悟を決めたとき、
高志の腰にふわっと弓倉の腕が巻かれ、さらに頭にも手が回されると一息で元の位置に引き戻された。

つまり胸の中に。

「危ない男だな君は」

高志の耳に届く、弓倉の声。

「予想はしていたが、ここまで予想通りになるのも珍しいぞ」

弓倉の両手は力強く少年を抱き込み、
ぶつかった時とは比べ物にならないほど肌に密着していた。
トク、トク、トク・・・・・・。
胸の膨らみから、心音が伝わってくる。

< 14 / 146 >

この作品をシェア

pagetop