身長差15センチの関係
相変わらず押し合い、混雑する列車。
弓倉に抱かれて、高志はかなりのぼせていた。
これ以上なく身体が密着している上に、
弓倉の肩ほどまでしかない高志は、
四方からぎゅうぎゅうと押される度に、
高志の顔が弓倉の胸元に擦り付けられて、
何とも言い難い柔らかさを頬や額に受けるのだ。
それは高志にとってけして嫌なものでなく、
むしろ自分から突っ込みたい衝動に駆られるもの。
高志は少ない自前の筋力と理性をフル稼動してそれ以上めり込むのを我慢する。
・・・せ、先生怒ってないかな?
高志は心配になり弓倉の様子を覗う。
弓倉は気にした様子もなく、
自分の胸元から見上げてくる高志に涼しい視線を向け、
「そうか、君も私も降りる駅は同じなんだな」
と、普通に話しかけてきた。
「は、はい、偶然ですね」
「そうでもない」
あぷあぷしながら返答を返す高志に、弓倉は言う。