身長差15センチの関係
弓倉がカップから手を離し、頬づきをして高志を覗き込む。

口元は柔らかく笑みを作っていた。

高志は、のぼせていた熱がよみがえり、慌てて横を向く。

「異性って・・・・・・」

「はは、そんなに本気で照れてくれるとはな」

高志の耳に聞こえる、笑いを含んだ弓倉の声。

「うむ、経験の足りない少年にこういうアプローチは反則だな。ただの軽口だ、気にとめることはない」

それは授業では聞いたことのない、弾んだ声。

聞いているだけで高志の鼓動が早くなる。

「じ、実験って、先生の学生時代ってどんなふうだったんです?」

自分を落ち付ける為に、話題をそらす高志。

「理系の学生だ。君も進学していけば分かると思うが、理系の女子学生と言うのは数が少ない」

「かといってそうチヤホヤされる訳でもない、私のような可愛げのない女を育むには絶好の環境だったな」

「そんな、先生は・・・」

可愛いですよ。
と、高志は反射的に言おうとして口を塞ぐ。

「ふふ、気を使わなくてもいい。だが、その気を使おうとしたタイミングはいいぞ。満点だ」
< 26 / 146 >

この作品をシェア

pagetop