身長差15センチの関係
(流れとはいえ、私から誘ってしまったか・・・・・・)

弓倉は、コーヒーメーカーに水を注ぎながら思う。

(これを飲み干せば、そこで別れておしまいだ)

そう決めて、実行できるかどうか不安。

こうやって、ずるずると区切りを先送りにしているのは、

夏休みの宿題を先に延ばす学生の気分だ。

高志はといえば、興味深げに弓倉の動作を見ている。

「先生、その水も綺麗ですよね」

「当然だ。しっかり上水と確認してある」

理科準備室らしく、水の取り口も部屋の中にある。

簡易な流し台についた蛇口だが、これもほぼ毎日使うので綺麗にしてある。

「ですよね」

なら安心と、高志は弓倉を見続ける。
ボタンのことを怒っている様子はもうない。

それどころか、弓倉のことを完全に信頼している。

教師の威光か、
個人の特性か。
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