身長差15センチの関係
やがて力つきる高志。

「ふううぅ・・・・・・」

「満足したか?」

「先生こそ、フラスコはあきらめてくれましたか?」

「君が、あきらめるまでこの腕を放さないと言うのなら」

「言うなら?」

「・・・・・・いや、あきらめた。放せ」

「はい」

高志は、素直に弓倉の言葉を信じて腕を開放した。

小さい身体で全力を使ったのだろう、すーはーと音を出して息を整えている。

「・・・・・・・・・・・・」

高志のちびっこい感触が残る弓倉の腕。

弓倉は机でもう一度頭を抱えそうになり、踏みとどまって高志に飲みかけのコーヒーを渡した。

「感想はもういいから飲み干せ。それくらいはできる味だろう」
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