それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
「俺達は…ライバル、かな。」
不敵な笑みを浮かべた。
「ライバル…ですか?」
サッカーの、って事か?
「俺、まだ万桜の事諦めてないから。」
「はぁぁぁ!?」
横の通路を歩く女の人が振り返るほど、俺は間抜けな声を出した。
ちょ、ちょっと待て。
万桜を振ったのはアンタだろう。
それなのに『諦めてない』って、どういう意味だ?
「万桜はそういう事話すタイプじゃないからな。聞いてないか。」
岩城さんは体の向きを変える。
「万桜を振ったのは、岩城さんですよね?」
鼻息が荒くなってきた。
わざわざ会いに来て、振ったんだろう。
「…そうだよ。」
目線を低く、落とす。
「あの時の俺、弱かったんだ。万桜がいなくなってしまう事が。」
「……。」
「離れたら、こんな風に万桜が違う誰かを好きになるのが耐えられない、と思った。」
「……。」
正直な気持ちだろう。
俺だって、もし今万桜がいなくなったら…。
考えられない程、不安だろう。
信じてるが、実際耐えられるだろうか。