それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
その5分前――。

「じゃあ屋上行こっか~。」

なんて、軽く誘われたりしたけど軽く断れる雰囲気じゃ、まるでない。

プリントを元に上乗せし、

「ちょっと行ってくるわ。」

と俺は言った。

元は何か言いたそうに、口をパクパクさせる。

俺は頷いて、左肩をポンと叩いた。

大丈夫だって、そう伝わったはずだ。



三浦先輩は何も言わない。

ただ一緒の友達が口を開くだけ。

「そろそろ別れる頃だろう。」

「彼女、拓翔(たくと)に譲ってやれよ。」

そうだ、三浦…拓翔先輩だ。

名前は判明したが、肝心の三浦先輩の気持ちが分らない。

何も言わないのが、引っ掛かった。

――そして万桜が現れた。

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