それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
「悪い、今の忘れて――。」
「ありがとうございます。」
彼女は俺の言葉を遮る。
ありがとう、って言ったのか?
「でもアタシ、ヒロ先輩じゃなきゃダメみたいなんです。三浦先輩がそんな風に思っていてくれるなんて…。でもアタシ…。」
左手で目元を隠すように、泣いていた。
固い絆があるんだろう。
そう感じられた。
「もういいよ、泣くなよ。」
ダメだと分かっていても、抱き締めずにはいられなかった。
実らない想いなのに、俺を責める事もしない彼女をただ腕の中に。
後悔しても、もう遅い。
本気で彼女にぶつかったら良かったんだ。
そうしなかった俺を責める事なく、彼女は本音を聞かせてくれた、というのに。
俺も信じてやろう。
こんなにも園田を想っているこの子の為に。
さかしたまおが、いつも笑っていられる事を。