それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
勇気
密かな想いを胸に秘め、アタシは今日もヒロ先輩の姿を探す。
いつもの食堂の人込みの中を。
すぐに分かるよ、先輩の後ろ姿。
もう昼食が済んだのか、立ち上がる。
そしてこれからオムライスを食べるアタシと、食器を戻す先輩とすれ違う。
「万桜これから??」
「はい!!」
部活の前に会えた。
「じゃあまた後でな!!」
軽く手を上げ、アタシと反対方向へ向う。
「頑張れよ、万桜。」
後から来た旬磨先輩は、耳元で小声で言う。
「…はい、頑張ります。」
アタシも小声で返事をする。
「顔、赤いぞ。」
「も~先輩ったら!!」
からかっているの??
ううん、リラックスさせてくれている。
「旬磨~、行くぞ!!次、体育!!」
ヒロ先輩の声が聞こえた。
「じゃあなぁ。」
足早に去って行く。
「何話してたの??」
亜子から、トレーを渡される。
「ヘヘ、顔が赤いって言われた。」
亜子は肩で笑ってる。