それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
こんなに気まずい帰り道は初めてだ。
万桜と言葉を交わさないまま、別れの時間が近付いてくる。
言わなきゃ。
『昨日電話出来なくてごめんな』『今日はかけるから、待ってろよ』
その一言が言えない。
…隣りには梓がいた。
何も言わない俺の気持ちなんか無視したように、話し続ける。
何を言っているのか、全然頭に入ってこない。
なぁ万桜、もう少し待ってくれ。
ちゃんと梓が分ってくれるまで。
辛いかも知れないが。
俺は万桜だけ想っているから。
きちんとけじめをつけるから。
後ろから旬磨と万桜の笑い声が聞こえる。
分からないフりをしていたんだ。
万桜がどんな想いをしていたか。
悲しい想いを知ってて、知らん振りしていたんだ。
…ごめん万桜。