それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
誰も動こうとしなかった。
「で、ズルズルと今まであの子をここに居させたバツな。キャプテンと副キャプテンはグラウンド5周!」
「…分かりました。」
キャプテン旬磨は、園田くんの肩を軽く叩き、ランニングを始めた。
福山コーチは笑っていた。
「頑張れよ~旬磨!」
三年の誰かが声を掛けた。
「うっせー、お前らも来い!」
キャプテン旬磨は、後ろ向きに走りながらそう叫んだ。
次の瞬間、一人、また一人…と後を追って走り出した。
そうだ、それでいいんだ。
アイツらだけの責任じゃない。
みんな責任を感じてるから、走り出すんだろ。
全員が走っていた。
園田くんに順番に声を掛けながら。
彼は笑っていた。
「潤くん…。」
万桜のは穏やかな顔をしていた。
「マネージャーも走る?」
「…いえ、アタシは遠慮します。」