それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
「姉貴(あねき)が色々ごめんね。ヒロから聞いて…。」
姉貴とあの人を呼んだ美華さんとは、目元がよく似ている気がした。
ショートボブの髪型がロングだったら、雰囲気はそっくりかも。
「それで…。」
100%警戒しているアタシに、申し訳なさそうに続ける。
「話しがしたいって言ってるの。」
「はっ?」
まさかあの人が?
アタシと…?
「嫌だよね…。それは分かるんだけど、話したらヒロの事諦めるからって。」
その言葉からすると、やっぱりヒロ先輩の事まだ好き…なのかな。
またアタシの中にモヤモヤとした感じ。
「美華も一緒に行くから…いいかな?」
「……。」
返事をしないアタシに美華さんはこう言った。
「妹の美華が言うのは変かもしれないけど、姉貴ヒロがまだ自分の事好きだって思ったるみたいで…。だから阪下さんの口からハッキリ言ってあげて欲しいの。」
美華さんは一生懸命だった。
嘘や見せかけではないだろう。
言う通り、アタシが一言言ったら納得してくれるかも。
ヒロ先輩も悩んでいると思う。
あの人が現れた時は、いつもと違う先輩だったから。