恋人遊戯Ⅱ





「お前の母親もそうだったな。水商売してるようなヤツは、下らないっ!」


ヤバい…。完全にキレた。さすがに親の仕事の事まで悪く言われたら、キレるじゃん!


親だって、別に好き好んで水商売の仕事をしてるんじゃない。いつだって、飲めない酒を飲んで客を楽しませてるんだ!!


おまけに、通信教育一つで8年かけて大学を卒業した事に俺は恥ずかしいって思った事がない。


なのにこいつは、それすらを踏みにじる事を言いやがった。


下らないだと? てめぇの考えがそんな低度しか出てこない事が下らねぇ!


怒りのあまり、俺は原との間にある会議用の長机に拳を作って殴り付けた。


その瞬間、原は怖気付いたみたいだけど、また口を開いた。


「そうやって、気に入らない事があれば喧嘩する様な事しか出来ないのがお前みたいなヤツだッ!!」


「ッ!? …てめぇなッ!!」


「原先生ッ!! 嶋田ッ!!」


締め切ってた進路指導室に、音を立てて入ってきたのは妻ちゃんだった。


でも、俺がそれに気付いた時には遅かった。スローモーションの様に俺の拳が原、目掛けていた。


どがっ!


鈍い音を立てて、妻ちゃんが倒れた。え…、何で妻ちゃんがここに登場するんだよ。


「ぇ…つ、妻田先生ッ!?」





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