恋人遊戯Ⅱ
あれ~? 俺って、こんなにもショックを受けるぐらい赤坂の事、好きだったんだ。
「将ちゃんね、今の彼女と付き合ってたんだ。私がエッチを強要した時には…」
よく見れば、目を赤くさせる赤坂は、弱さを見せないようにしてるんだろうか、タバコをスパスパと何度も吸っていた。
「ちょーさいてー。…そう思わない?」
…そこを聞くんですか。
ヤな所を聞くな。「そうだな」って、答えたら「そんな言い方しなくったて…」って言われそうだし、「そんな事ないよ」って、答えたら「いい加減な事を言うな」って言われそう。どっちにしても、泣かれそう…。
「悩むよね~、そんな事言われたら」
フフフ。と、笑った赤坂は持っていたタバコを灰皿に押し潰して、火を消した。
「…そうだね。ヒドいよね~。彼女の事が凄く好きなのに、私が横やり入れた」
静かに呟く赤坂は、眉を潜めた。…たぶん、当時の事を思い出してるんだろうな。
その事が、何とも言えない気持ちになる。
「……つ、妻ちゃんは…」
聞きたくないって思ってる自分の感情とは真逆な事を言ってしまった。
やべ…。とは、思ったけど、時すでに遅し。
「……してくれたよ。それで、私が族を辞めるならって…」
いつの間にか俺は両手に力を入れていたみたいで、拳が真っ白になっていた。息も殺してたみたいだけど、ヒドく浅いものだった。
何だろう。この感情は…。感じた事がない、胸の辺りで何かが渦巻いているようで気持ち悪い。