青空の下で投げた一球【編集中】




「ずっと……

1年のときから……

………名前呼ばれるのを願ってた」



「『投手 河野』って言われるの。

――――待ってたんだ…。」




「篠岡はずっと遠くにいる存在で、

和田はいい投手だから…

抜けねぇかんな。

だから俺は和田にも篠岡にも嫌味なんて

1回も言えなかった」




「今日、今さっき呼ばれて、

すんげぇ嬉しかった。

やっと願ったんだ。

美波がいなかったのが少し…

あれだったけど…でも叶ったんだ。

でも自分で切ろうとしてた。

篠岡が言ってくれて感謝してるよ…。」



「……。」



篠岡は俺の話を聞いていて、

何も言わなかった。









「健の…あの言葉は……

………すんげぇ嫌だった。

毎回…試合になると何だか感じてたんだ。

あの上から目線みたいな空気。

『気の毒だな』って言われてるみたいで

嫌だった。



健も信之助も美波も試合に出てて、

俺だけ出てなくて、毎回試合に出れなくて、

アルプスで応援してるのが

ドンドン辛くなったんだ。

美波には

『投手で出なきゃ意味無い』

って言ったのに、


ライトでもいいから試合に出たいって思う

俺がどんどん出てきて

グルグルしてたんだよ」





「…あ"ぁ――っやべぇ……


―――…泣きそぅ……」








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