青空の下で投げた一球【編集中】




「ック、んっ…ぅえっわー…」



何か変な泣き声がして、

聞える方向を見たら


美波がいた。





「美波…」


そぅ言うと隣にいた内海が気が付いて

内海も美波を見ていた。



車椅子に座って腕は包帯で上げてる。

隣にいたのはお母さんかな。



美波は大きな声で泣いていて

保護者は美波に注目しているのに

泣いている本人は

そんな事気にせずに泣いている。




「田辺…」
「ぉい田辺!!」
「田辺なんでいんだよ」
「田辺さん??」


部員がそぅ言うと

美波はバレた!!みたいな顔をした。


そんだけ大きな声で泣いてたら

バレるっつの;;




「何でいんだよ」


「来、たくッ…なって……

先生にッッ…頼、んで…来た…」



目を真っ赤にして

ときどき詰まらせながらもそぅ言った。



言い終わると美波はまた

「ぅわーん」と泣き出した。



それにつられるみたいに

俺等も泣き出した。





思い出したのは練習風景。

何度も怒られて、
何度も呆れられた。

何度も吐いた。



夏の練習は本当に死ぬんじゃないのか

ってくらいきつくて、

何度も怒られて辞めたくもなった。



篠岡との差が開くたびに悔しくて

追いつきたいのに

追いつけないもどかしさ、


努力しても全然結びつかなかった。

努力しても通じなくて

本当に辛かった。


辞めたくなった。

でも、辞めたくなかった。


いつの間にか野球が好きになってたんだ。


調子が上がらなくても

野球が好きだったから続けられた気がする。






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