青空の下で投げた一球【編集中】
階段を降りると美波は慌てて走ってきた。
「何でそんなに急いでんだよ」
「この前卒業式の前に
写真撮るって言ったでしょ!!」
「あー…」
忘れてた。
「早く来る!!」
怒りながらも卒業生がする
コサージュを胸に付けてくれた。
「身長高い……むかつく」
「オトコノコですから」
むかつくなぁなんて言われながら
走って教室に入った。
「河野遅ぇーぞ」
「悪い」
「大地コサージュ似合わねぇ!!」
「うっせぇなぁ…。」
みんながこっちを見ていて笑ってた。
今になって卒業の自覚がした。
「撮るぞー」
「3・2・1――…」
―――…ピピッ
高校になって初めての話だった。
1年のときの担任が言ったんだ。
『高校の友達は一生物だ。
大切だと思うならぶつかれ。
ぶつかれないならそれは友達じゃない。
高校生活の中で1回はぶつかれ。
逃げるな。
卒業するときを楽しみにしてる。』
入学したての俺らに
もぅ卒業の話をする担任を馬鹿だと思った。
いつも強く見る眼を俺は眺めていた。
いつも正論チックな事を言う担任を
偽善者だと思ったときもあった。
今は学校が変わったけど
たぶん同じ事を言ってんだと思う。
今になったら分かったんだ。
わかって、理解すると
少しだけ目が熱くなった。