青空の下で投げた一球【編集中】
最近気に入っている曲が
スタジアム全体に響く。
応援歌が聞える。
「(シュート)」
シュートのジェスチャーをして投げる。
「ナイス!!」
数球投げると、
ピッチングコーチの間森さんは
笑顔で「いつも通りな」って言った。
たぶん今年入団したてだから
まだ緊張してるって思ったんだろうな…。
してるよ。
人数が多い。
今日はホームゲームで
この球団を応援している人が多い。
点差は2点。
ここを抑えるのが俺の仕事。
次の川瀬さんに繋げるのが俺の仕事。
まずは先頭だ。
いつもの様にスタンドの方を向く。
目を瞑って思いっきり息を吸う。
「フッ!!」
ユニフォームの胸の部分を掴んで
軽く引っ張る。
「(大丈夫。……いくぞ!!)」
目を開いて打者を見る。
≪8番 指名打者 篠岡≫
チームの事情で今は野手をしている篠岡。
今日は指名打者だ。
交流戦ならではの『篠岡の指名打者』
今の俺なら、篠岡を討ち取れる自信、
――――あるよ。
5年前を思い出すよ。
もぅ誰にも邪魔されない。
「(今日も同じ想い。)」
―――想い込めて投げろッッ!!!!
思い出すのは
暑い中白いボールばっかり
追っていたあの頃。
こんな俺になるって知らなかった
純粋で弱気な俺。
そのままの俺でいるか、
今の俺でいるか。
決めるのは、あの時の俺。
日本中に認められる
守護神になることを夢見て
青空の下で今日も白球を投げる。
*青空の下で投げた一球*
*END*