青空の下で投げた一球【編集中】

経験。





ヴ―――…



天気はもの凄くよくて

溶けるんじゃないのかって

本当に思うほどだった。



そんな天気の中、

最期の夏が終わった―――…



涙は出なかった。

なぜか清々しかった。



「集合だ」

今悔しくて崩れ倒れてる仲間に

声をかけれる余裕もある。




俺のせいで負けた去年の夏。

怖かった。

責められるのが怖かった。

でも責められなくて逃げた事に怒られた。

実は結構キツかった。

後から冷静になって

酷い事を言ってしまった先輩に謝れば

笑顔で許してくれたのも辛かった。


『俺は肩が弱いから強い高宮が羨ましいよ』

なんて言ってくれたり

『大事なのはこれからだから気にするな』

とも言ってくれた。



あれからかなり自分を追い込んだ。


よく走った
走ってグランドに出た
よく声を出した
よくノックを受けた
よくバットを振った


今までキツくなった練習メニュー。

河野先輩の成長を見てから

よくチーム内で試合をした。

ポジション争いなんて

打順争いなんて

試合直前まであった。

下に下ろされるんじゃないのかっていう不安……。


でも下ろされてもいいと一時期思った。


河野先輩が言ってた。

『何事も経験』

試合に出て学べ
打席に立って学べ
振って学べ
打って学べ
走って学べ
守って学べ
ミスして学べ
成功して学べ
勝って学べ
負けて学べ――…



俺にはまだまだ学ぶ事が多い。

だから下ろされても

学べる事はあると思った。

でも他の奴に4番をレフトを譲るのは

嫌だった。






< 489 / 492 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop