恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
今の音……なに?
胸に手を当てた私は、警察官から視線を逸らせなかった。
キュンって音が
どきどきに変わっていく。
自然な栗色の髪がサラサラと風に揺られ、
ほどよく筋肉の付いた腕が、捲くられてる袖から綺麗に見える。
それに、紺色の制服と桜色がこんなにも合うなんて……
今まで知らなかった。
ドラマの主人公のような甘いマスクで微笑んでいる警察官は、
私が今までいやでも毎日目に入っていた警官とは違っていた。
私の知ってる警官達は、
落ち葉や花びらを邪魔くさいって感じで踏みつぶしてたよ?
どうしてあなたは
そんな小さな花びらを大切そうに掌に乗せて、優しく微笑んでるの?
どきどき
どきどき――‥
胸の音が消えないよ……。