恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「お母さんはね、実は失恋をした勢いでお見合いを受けて、そこでお父さんと出会ったの。だから結婚も出産も同級生の中では遅い方だったわ」



ふふふっと笑いながら話すお母さんの言葉に、さっき以上に咽たお父さん。


お父さんもお母さんがどんな状況でお見合いをしたのか知らなかったらしい。



お母さんは「あらら」って微笑みながら、優しくお父さんの背中を擦った。




二人を見てると、なんだか微笑ましくなった。



いいな……。

私もいつかこんなふうに微笑ましいって思える夫婦になりたい。



お父さんの咳が落ち着くと、お母さんが私に視線を移した。



「美樹は、今好きな人いるの?」



お母さんの質問に、湯冷めしていた私の頬が熱くなった。



「いっ、いないよ!」


「そう……。たとえどんな形であれ恋って素敵よ」






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