恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「そろそろ行くね!」


お母さんたちから逃げるように立ち上がった私に、おばあちゃんが声をかけた。


「美樹ちゃん、ちょっと待って」


早足で自分の部屋に入って行き戻って来たおばあちゃんの手は、綺麗に包装された細長い箱を持っていた。



「美樹ちゃん、開けてみて」


そう言いながら私に箱を渡したおばあちゃん。


私は目を丸くしながら箱を開けた。



「おばあちゃん、これ……」


箱の中には、小さなリングが2つ付いたシルバーネックレスが入っていた。


「本当は来週の美樹ちゃんの誕生日に渡すつもりだったんだけど、今日の服に合うと思って……。どうだろか……?」



心配そうに私とお母さんの顔を見ながら、ネックレスを私の胸元に寄せるおばあちゃん。


私は嬉しくておばあちゃんに抱きついた。



「おばあちゃん、ありがとう! すっごく気に入ったよ!!」


「うん、うん。美樹にぴったりよ」



私とお母さんの反応に、おばあちゃんはほっと息を吐いて口を開いた。





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