恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「そう言ってもらえると、わざわざ駅の向こうにあるデパートまで買いに行った甲斐があったわ」
「えっ、おばあちゃんあんな遠いところまで行ったの!?」
おばあちゃん、腰が悪くてあまり歩けないのに……。
「おばあちゃん今の若い人が喜ぶものなんてよくわからなくてね、チラシを見てたらネックレスなら喜んでくれるかなって思って。
店員さんに相談して選んだのよ」
「ありがとう。おばあちゃんがくれる物なら、私なんだって嬉しいんだよ」
「美樹ちゃんは優しい子だね、ありがとう」
私とおばあちゃんの会話を聞いてたお母さんが、はっと何かに気づいたように口を開いた。
「おばあちゃん、もしかして宮本さんに助けられたのは、その帰り道?」
「そうだよ」
平然と答えるおばあちゃんの隣で、私の目は輝いた。
あの日買い物に行ったおばあちゃんと
このネックレスがおまわりさんを私に会わせてくれたんだ……。
なんだかすごく嬉しい。
おばあちゃんから貰ったこのネックレスが、今まで感じたことのない特別なものに思えた。