恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



帰りのバスの中、隣の席で眠ってしまったおまわりさんを起こさないように、私は静かに過ごしていた。



おまわりさん、気持ち良さそう……。



おまわりさんの寝顔を見てると、なんだか私まで眠くなっちゃう。


瞬きが次第にゆっくりとなり、視界がぼやけていく。



だけど、私は夢の中に近づきながらも、おまわりさんの寝顔に見惚れてしまっていた。



おまわりさんの睫毛って長いんだ……


こんな所に小さなホクロがある……




おまわりさんが起きてたら、こんなふうに近くでじっと見れないもんね。


今寝たらもったいない。




私の視線は綺麗な鼻から唇に移り、

そこで小さな胸がドキンとなった。




キス……したんだね、私達。


まるで頭の中にスクリーンがあるように、二人のキスをしている姿が浮かんでくる。



この唇が、私の唇と……。


うわぁ~、だめだめ。

これ以上思い出したら、私おかしくなっちゃう。



キスしたいって思っちゃうよ……。






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