恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
見えない壁
近づいてくる圭ちゃんの笑顔の後ろにあるおじさんの影。
私は不自然な笑顔で圭ちゃんに手を振っていた。
私の前に立った圭ちゃんは、嬉しそうに口を開く。
「もしかしてデート?」
おまわりさんに小さく頭を下げる圭ちゃんに、私は動揺しながら口を開いた。
「制服ってことは部活だったの?」
「え? うん。合唱部はほとんど休みなし」
「そうなんだ~」
すごく不自然かもしれない。
けど、今おまわりさんを彼氏って紹介するわけにいかない。
あの警察官に、おまわりさんが女子高生と付き合ってるって知られてしまう。
動揺している私の視界の中で、おまわりさんが通り過ぎていく警察官に会釈した。
やっぱりおまわりさんと同じパトカーに乗った警察官なんだと確信した私は、更に動揺する。
そんな私の前で、圭ちゃんがおまわりさんに声をかけた。