恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
家の玄関を出ると、心臓がドキドキと騒ぎ始めた。
おまわりさんが、すぐそこにいる……。
そう思うだけで、胸の音が大きくなっていく。
私はおばあちゃんから貰ったネックレスを制服の上から握り締めた。
おまわりさんへの想いが詰まったネックレス。
私のお守り……。
大きく息を吸い込み、歩きはじめた。
交番が近づくにつれて、足の動きが心臓の動きと共に早くなる。
おまわりさんに会いたい。
どんなに苦しくても、この想いは変わらなかった。
交番の前を通った時、ほんの少しだけ視線を横に向ける。
だけど、そこにはおまわりさんの姿はなかった。