恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「本当に好きなんだね……」


私が話し終わった後に、智子が最初に言った言葉。


私はゆっくりと頷いた。




「美樹は優しすぎるよ。
好きならいつも近くに感じてたいって思うのに、別れを選んじゃうなんて……。
自分の気持ちより、おまわりさんを大切に思ってるんだね」


「よくわからない……。
ただ、おまわりさんが誰かに悪く言われることが、凄くいやで……
自分の悪口を言われるより、胸が痛くなった」


「それって、本当に好きだからだよ。
好きって苦しいね?」


「うん。苦しい……」



智子と話していると、不思議と心が穏やかになった。



昨日はただ泣いて泣いて、心が壊れるんじゃないかって思ったけど、

今は自分の気持ちがはっきりと見える。




私は、おまわりさんが好き。


だから、後悔はしない。







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