恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
誕生日。
私にとっては特別な日。
私が生まれて、
初めて泣いた日。
人の温もりを知った日。
私が生まれた日は、
今日のように、空には雲一つなかったらしい。
病室から見えた真っ直ぐな樹木が、太陽の光を燦々と浴びて綺麗に見えたことから、
お父さんが私の名前を『美樹』にしたんだ。
昼休みに、智子が携帯ストラップをプレゼントしてくれた。
ピンク色の蝶がついた、とてもかわいいストラップ。
「ありがとう。すっごくかわいいね」
「でしょ? そのピンク色の蝶はね、恋のお守りなんだって」
「恋のお守り?」
目を丸くした私に、智子が嬉しそうに話を続けた。
「運命の相手のところまで導いてくれるんだって」
「そうなんだぁ……」
運命の人……。
私にも、運命の人なんているのかな。
おまわりさん以外に、運命を感じることなんてあるのかな……。